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不動産を活用した相続税対策で注意すること
1 不動産を活用した相続税対策の注意点
不動産を活用した相続税対策では、以下の2点に注意をすることが必要です。
① 相続開始前3年以内に貸付けを開始した場合には、小規模宅地等の特例が使えなくなる可能性があること
② 利益率等の計算も行うこと
2 相続開始前3年以内に新たに貸付けを開始した場合
不動産を活用した相続税対策は、「賃貸物件を建設して、その建物や部屋を賃貸に出すことで、宅地の評価額に借地権割合や借家権割合等の修正要素を加えられるようになる」という性質に着目して行われます。
そのため、相続税対策のために建設される不動産は賃貸物件とされることが多いのです。
そして、このような貸付事業を行っている土地については、一定の要件を満たす場合には、200㎡までの範囲について宅地の評価額を50%減額することができます(小規模宅地等の特例)。
しかし、相続税対策のためだけに賃貸物件を建設する人が増えたために、国は、平成30年の税制改正で、相続開始前3年以内に新たに貸付を開始した場合には、この小規模宅地等の特例の適用を認めないこととしました。
そのため、小規模宅地等の特例を使うことを前提に賃貸物件の建設を考えている場合には、被相続人の年齢等も考慮して意思決定を行う事が重要です。
ただ、相続開始前3年以内に新たに貸付を開始した場合という要件については、一定の基準に該当すれば、考慮しなくて良い場合があるので、お悩みになられた場合には、税理士に確認すると良いでしょう。
3 利益率等の計算も考慮に入れること
相続税対策のために、賃貸不動産を建築するのは良いですが、建築後の収益を加味しなければ、せっかく節税をしたのに、維持コストのみがかかるということになりかねません。
そのため、賃貸不動産の建築を行う際には、節税効果の計算だけでなく、利益率等の計算も考慮に入れていくことが重要です。
この利益率を判断するためには、地元の不動産管理会社に賃料の予測等を計算してもらうことで対応できる場合があります。